【ヒグチ式通信vol.7】広い畑で草刈りの手作業をする時、「目印になる旗竿」を数カ所立てると作業がはかどる
ヒグチ式の開発者である樋口先生の教育哲学をご紹介する「ヒグチ式通信」。
第7回目となる今回は、「広い畑で草刈りの手作業をする時、”目印になる旗竿”を数カ所立てると作業がはかどる」についてご紹介していきます。
勉強のモチベーションを維持するための方法や暗記のコツなどについて触れていますので、ぜひお子さんの勉強方法の参考にしてみてください。
TOPICS
広い畑で草刈りの手作業をする時、「目印になる旗竿」を数カ所立てると作業がはかどる
ある心理学者が作業能率を調べるために、学生たちに次のような草刈り実験をさせました。
まず1つ目のグループ(以下、Aグループとします)に、何も指示しないでそのまま草刈りをさせました。
そしてもう1つのグループ(以下、Bグループとします)に、Aグループと同じ面積の牧草地ですが、途中に目印の旗竿を何本か立てて作業をさせました。
どちらのグループが早く草刈りを終えたと思いますか。
実験結果は予想通り、旗竿を立てたBグループです。
では、なぜ早く終わったのでしょうか。
Aグループは牧草地を旗竿で分けなかったため、最初に面積の広い牧草地を見ると全部仕上げる意欲が低下し、また、作業が進んでも「現在どこまで進んでいるのか」が実感しづらかったのです。
一方、Bグループは旗竿ごとの小さな面積に分けたことで「これだけ作業すると、この部分は仕上がる」と気持ちが楽になり、また、作業が進むと次の旗竿に近づくので「ここまで進んだ」と実感でき、最後までモチベーションを維持することができました。
これから分かることは、全体として作業量は同じでも作業の仕方を工夫することで能率が良くなる(作業しやすくなる)、ということです。
この心理学実験をヒグチ式学習に応用しよう!
出典:ヒグチ式 進捗シート
ヒグチ式の場合、”目印になる旗竿”は「進捗シート」です。
進捗シートは学習の記録であるとともに毎回の記録が「勉強のペースメーカー」となり、前のページが100点だったら,次のページも「少し難しくなっても、何とか100点を続けたい」と粘り強く続けられるようになります。
また、仮に100点(評価点)を取れなくても、毎回点数が上がっていくのを見ると勉強が楽しくなります。
たまに点数が悪い時があると勉強するのが嫌になることもあるかと思いますが、進捗シートに記録することで、上がったり下がったりしながらも全体として向上しているのを目で確認することができ、勉強へのモチベーションも高まります。
普段の勉強にも活かしてみよう!
この方法は勉強の万能特効薬です。
例えば勉強で暗記モノの分量が多いとき、細かく分けて、それぞれ仕上げ、次に段々つなぎ合わせて、全体を仕上げる。
漢字50問テスト、国語の「文章暗記」、地名暗記、英単語の暗記などにもこの方法が使えますが、このとき最初に全部完璧に覚えなくても良いのです。
2回目は覚えにくいモノだけ寄せ集めて覚えたり、別の教科を勉強して少し時間がたってからさっき覚えたものを 思い出してみたりすることで、徐々に全部覚えられるようになっていきます。
これを繰り返して思い出せない個数を減らしていくと、勉強が楽しくなります。
思い出すコツは思い出せた個数を意識することです。
すぐに答えを見ようとすると記憶に残りづらいですが、「あと 1 個,何とかして思い出そう」と全身を振り絞って思い出すことでより記憶に残りやすくなります。
【ヒグチ式通信No.7】今回のポイント
ヒグチ式通信7回目として、「広い畑で草刈りの手作業をする時、”目印になる旗竿”を数カ所立てると作業がはかどる」についてご紹介しました。
今回のポイントは”目標を小分けにすることでモチベーションを維持しながら、作業能率をアップさせる”です。
課題の量が多かったり、すぐには到達できないような高い目標に挑んだりする時があるかと思いますが、そのまま目標に向かって取り組もうとすると相当な自制心がない限り努力が長続きしません。
そのため、大きな目標を小さな目標に分解して取り組むことで、毎日小さな目標を達成したことによる成就感を得られ、それによって努力を継続しやすくなり、かつ大きな目標を達成した後には日々の積み重ねによる大きな成長を感じることが出来ます。
もしお子さんがテストで高い点数を取ることや高い志望校を目指していたりする場合は、試験までにしなければいけないことを小分けにして目標を設定し、毎日一つずつ達成していくことを意識されてみてはいかがでしょうか。